オススメ書籍:「くちぬい」坂東眞砂子著


「くちぬい」坂東眞砂子著 集英社

ホラーです。

心霊モノではないのに、こびりついてくる怖さ・・・

坂東眞砂子特有の粘着性のあるストーリーがたまらないです。

東京から越してきた夫婦

東京から高知県の田舎にある村に越してきた夫婦を中心に物語が展開します。

美術教師だった夫は定年後、陶芸に専念したくて
山の中の自然に囲まれたこの村に越してきました。

妻は東日本大震災後の放射能汚染を恐れて
この引越に賛成していました。

みんないい人

小さな山間の村はみんな親戚、兄弟の如く仲が良く
親切そうな人ばかりでした。

勝手に人の家に上り込むこともあるほど
良かれ悪しかれ人の距離の近い
ありふれた日本の田舎の描写です。

赤道(あかみち)を巡って

夫は自分の家の敷地に陶芸用の本格的な穴窯を作ります。

妻はブログで穴窯のことも宣伝して
夫婦は
ゆくゆくは陶芸体験教室を開くことを夢見ます。

そんなある日

夫は村人達から穴窯が村の赤道(あかみち)
つまり道路法の適用外の昔の公道にあることを知らされ
この赤道は「朽縄様(くちなわさま)という村の守り神の参道だと告げられます。

さらに、穴窯を壊せと言われます。

夫は今更と怒り、理不尽な注文を断ります。

村人の一人が何が起きるかわからないと夫を脅します。

村人と夫は対立したまま日々が過ぎますが
この日を境に得体の知れない嫌がらせがこの夫婦を襲います。

誰が犯人か

このような出来事があっても
村人はいつも通りニコニコ平和に夫婦に接します。
あの脅迫混りの出来事なんかなかったかのように・・・

嫌がらせはエスカレートする一方です。

犯人は誰だかわからないまま
夫婦は精神的に追い込まれてゆきます。

村の振興を担う
村役場の青年がひょんなことからこの一件に関心を持ち
トレースしてゆきます。
真相が見えてくる気配が漂ってきますが・・・・

狂気と正気の境が消えてゆく

嫌がらせが続き
気にしないように努めながらも
次第に夫婦の神経はささくれていきます。

夫婦の間のヒビにも狂気がしみ込んで来ます。
健気にも夫婦は平静を保つ努力をしますが・・・

何もかも歯車が狂って廻り始めます。

村人の良識が狂っているのか

夫婦が空回りして
正気を失っていくのかわからなくなってきます。

悲惨な最後で
真相は不明のまま話は終わります。

読者は渦巻く狂気の中でどんよりした嫌悪感を
たっぷり味わえます。

本当に怖いのは人間の中に潜む狂気だと思わせる
【一気読み注意】の作品です。

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