スポンサーリンク

大好き書籍;「とくさ」福島サトル著(角川ホラー文庫)

とくさ表紙

「どだい許されない事なのよ。死んだ人間の言葉を呼び返すなんて。」

今回、紹介するのは

福島サトル「とくさ」(角川ホラー文庫)です。

僕にとってホラーは

ホラーは美がないといけないと思うんです。
ホラーだからこそ美しくないといけない。
私にとって、というより僕の脳にとって、ホラー小説は夢を見るのと同じ役割をはたしているようです。
現実の社会生活で生じたゆがみを非合理の世界で帳尻を合わせる機能を持っているようなんです。

そのような目的で小説をとらえるならば幻想小説も同じ効果をもたらすのでしょう。
作者には心外だとは思います。失礼なことを言っている自覚はあります。
「でも、本当のことなんだもん」です。

もう少し浅いところでは、現実逃避への誘導剤として欠かせないものです。

もちろん、ホラー小説と幻想小説ではテイストが違います。
ホラー小説では「恐怖」が無くては始まりません。
ホラー小説のほうが生々しい人間ドラマがある作品もあります。
非現実的であるがゆえに実社会の本質を抉り出している作品は
現実逃避しながら現実を俯瞰できる不思議な構造になります。

「とくさ」福島サトル著(角川ホラー文庫)

作りすぎていない身近な日本の景色のなかで

だんだん頭が痺れていくような薬物めいた魅力がたまりません。

2004年、小説「とくさ」は第11回日本ホラー小説大賞短編賞の佳作に選ばれました。
短編集で、「ナイヤガラ」「掌」「犬ヲ埋メル」「とくさ」が含まれています。
それぞれで完結してますが、うっすらと連続しているような構造になっています。

現在は、新刊は手に入らないと思います。古本を読んでいただくことになります。

私はこの作品が大好きです。
何度も読みます。
怖くはないのです。
キレのある恐怖ではありません。
多少の恐怖はありますが主人公が病的に恐怖に陥っている感じです。
むしろ僕の中の不安感がシンクロして、不安という小舟に乗せられて
物語の作る渦に巻き込まれていく感じがたまりません。

触覚、視覚、聴覚に訴える書き方は
過敏体質の人が日本の郊外の風景に感じる不安感がうまく表現されています。

じわっと、不安を感じて恐怖に落ちて行って・・・
なのに心の傷が修復されている
そんな効用がある作品です。

もっと福島サトルさんのホラーを読みたいのですが作品が少ないのです。
私の知っているホラーはこの「とくさ」だけです。残念です。

ふと、思うのですが
「とくさ」を好きになる人はどこかに得体のしれない不安を持っている人なのかもしれません。

スポンサーリンク

シェアする

フォローする

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。